2025年秋、言葉や文化が異なるろう者と聴者の遭遇から新しい作品が誕生します。
手話はひとつの言語であり、ろう者は独自の文化を持っています。聴者もまた言語を持ち文化を持っていますが、当たり前に思い込みすぎて、あまり自覚されることはありません。
「黙るな 動け 呼吸しろ」は、ろう者にとってのオンガクと身体、聴者にとっての音と体の関係の探究を軸に、両者が創作の場で遭遇する、日本手話と日本語によるオリジナルストーリーの舞台作品です。
「このタイトルの意味するところは——聴者にとっての沈黙は音声を発せず黙ること、ろう者にとっての沈黙は手指、顔、体を動かさないこと、『黙るな、動け』とはろう者に対して、聴者に対して、互いに対話をしようということ、そして互いに共通の『呼吸する』という根底にある生きていく上での必要な表現を追い求めよう!ということです」(日比野克彦・本作総合監修)
本作品は9月に開催される東京2025世界陸上、11月に開催される東京2025デフリンピックの文化プログラムとして2023年から準備を進め、ろう者と聴者が協働しながら創作を続けています。
ろう者の演出は、高い評価を受けている映像分野にとどまらずジャンルの垣根を超えたさまざまな活動で評価と注目を集める牧原依里、聴者の演出はダンサー・振付家として輝かしい実績を持ちながら、近年は俳優や振付家・演出家としても広く活動する島地保武がつとめます。出演はろう者・聴者ともに多彩な俳優・ダンサーが集まり、今年の春に実施した出演者オーディションを経て、総勢40名を超える出演者が決定いたしました。
協働制作の様子は公式サイトやSNSでも発信しています。11月29日(土)、この新しい協働の形が東京文化会館の舞台に繰り広げる世界にぜひご期待ください。